2015年 04月 19日
やわらかな夕暮れ
空も空気も光も
やわらかな夕暮れだった。
三寒四温というけれど、
五寒三温くらいの雰囲気で、
なんども寒さに揺り戻されながら、
少しずつ少しずつ春になっている。
春はただのどかなだけでなく、
狂気も感じる。生命の狂気だ。
他をかき分けるようにして
ぐんぐんのびる若葉。
命の源がうずまいている。
ぼぅっとしていると、その世界に
のみこまれそうになる桜。
カスミカクモカ。。。
その美しさと散り際の潔さには、
おそれいり、息をのむ。
わたしが時折感じる
そんな春の狂気は、
今日は不思議なほどなかった。
それは、少し遅れて咲く
大好きな八重桜のように、
少しぼてっとした、
やわらかい春の日だった。
広い空を眺めていると
心がのびやかに無限に広がっていった。
今日の言葉*
ことしも生きて
さくらを見ています
ひとは生涯に
何回ぐらいさくらをみるのかしら
ものごころつくのが十歳くらいなら
どんなに多くても七十回ぐらい
三十回 四十回のひともざら
なんという少なさだろう
もっともっと多く見るような気がするのは
祖先の視覚も
まぎれこみ重なりあい霞だつせいでしょう
あでやかとも妖しいとも不気味とも
捉えかねる花のいろ
さくらふぶきの下を ふらふらと歩けば
一瞬
名僧のごとくにわかるのです
死こそ常態
生はいとしき蜃気楼と
茨木のり子 さくら
by sachiolin
| 2015-04-19 01:37