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わたしの心の風景メモ。 


by sachiolin
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「仕事」について。

仕事というのは、「距離感」と「危機感」が
大切だなと、最近よく楽器を弾きながら考える。


仕事のできる人ほど、人との距離も、
出来上がっていく仕事の中身との距離も、絶妙だ。
基本的に少し遠くから世界を見ているあの感じ。
近づきすぎず、かといって、遠すぎず。


例えば、画家や彫刻家のように、
一人の世界に没入していくような「仕事」も、
勿論あるが、そういう孤高のアーティストでさえ、
一流の人になると、やはり、対象物との距離感、
そして自分との距離感が絶妙なのだと思う。

近づいては離れて近づいては離れて
ひとつの絵が完成していく。


ましてや、社会やシステムに属していれば、
「仕事」というのは、決して単体、単数の力で成り立つものは
なにひとつなく、必ず、そこでは他との関係性がうまれてくる。

ばらばらの点が、線になり、面になり、立方体になりというプロセスは、
他と距離をうまく作るということの、連続性そのもののようにさえ思える。
いくらたくさんの点があったとしても、同じところに重なってしまったら、
どこまでいっても、ひとつの「点」でしかないわけで、
実際に仕事というのは常に生き物のように変化するものだから
それには、「動ける点」であることが大切で、
つまり、動けるだけではだめで、必要に応じて、
じっと動かないこともできる「点」が、求められる。

頼りすぎず、引きずられず、けれど、信頼して、委ねて、助け合う。


こうしたいああしたいと、理想や希望を並べて夢見るのは
簡単だが、実際に、なにかを形作っていくときに、
上ばかり見ていては、なにも出来上がりはしない。
プラスのことばかり考えて、それを足し算していくのではなく、
マイナスが発生したときに、それをまず、いかにゼロまで持っていけるか、
そしてそれから、マイナスをいかにプラスに変えられるかというのが
大切のように思うし、実際に仕事をしていると、マイナスは
ちょくちょく発見され、ちょくちょく生れるものなのだ。
ゼロから+5に積み上げることよりも、
-5からゼロにすること、穴を埋めてきちんと地面を均すことのほうが、
よりエネルギーも技術も忍耐も要ることだと思う。
そして、平地から単に積み上げたものよりも、
穴ぼこを埋めてから、その上に積み上げたものの方が、
一見同じものでも、より深く、より確かで温かい。
そこに目がきちんといくか、そして見逃さないかというのが、
プロフェッショナルかどうか、ということの証でもあり、
同じ危機感を持っているかということの確認だとも思う。
危機感というのは、どこまで積み上げたいか、どこまでのものを
作りたいか、どこまで進んでいるのか、このままでは、ヤバイですよね?
という一種の共同認識であり、ある意味、距離感とも言えるかもしれない。


まぁそんなことを、もごもごと考えながら
自分の立ち位置を確かめながら
日々これヴァイオリンをきーこきーこ弾いている。

今日は、ある人の、仕事に対する姿勢がイイナと感じた。
その人は、特別オイシイ仕事をしているわけではなくて、
どちらかというと、ノコリモノ的なものを、任されているわけだが、
その人の、なんともいえない、まっすぐな仕事の態度に、
何だかわからないが、私は、心がふわーんと温まった。
こういうのを、「誇り」というのだろうと思った。
その人は、そう、「誇り」を持ってその仕事をきちんとやっているのだ。
オイシイ仕事やオオキイ仕事を、えへんと威張ってやってる人より、
ノコリモノ的仕事やチイサイ仕事を、きちんと愛情をもってやっている人の方が、
私は100倍尊敬するし、100倍素敵だと感じる。
その佇まいが、とても素敵だと感じる。


「小さい単位を大切に。」

そうだそうだ、マイテーマだったではないかと、
その人を見て、思い出して、また引き出しに大切に仕舞った。


歌劇場に毎日出入りしていると、本当に沢山の人々が
働いているのが分かる。オモテに出てくる人というのは、
全体からみるとごく一部であって、実際にはたくさんのウラの人がいて、
成り立っている、ひとつの舞台であり、ひとつの本番なのだと
つくづく感じる。いくら自分がオモテに出ていたとしても、
どこかできちんとウラを意識できていなければ、
その人のオモテ具合は薄っぺらいものだと思うし、
自分は絶対そうはなりたくないと思う。

オモテの人でも、ウラの人でも、
「誇り」を持って、自分の仕事を丁寧にやっている人
というのは、目を見れば分かる。
挨拶だけを交わして、名前は知らない人というのが、
たくさんいるけれども、お互い話さずとも、名乗らずとも、
ハローと言葉を交わす度に、私は、少しずつ少しずつ
温かなものをその人たちから貯金させてもらっている。


私も、静かな温かな誇りを持って、
毎日を大切に過ごしていきたいナと思う。
今日という日は二度と来ないのだから。




今日の言葉*

「短い一生で
心魅かれることに
多くは出会わない
もし 見つけたら
大切に 大切に」

(星野道夫)


今日のドイツ語**
扁桃腺;die Mandel
←アーモンド
der Stapel;堆積
→stapeln;積み重ねる
praezis;英precise ≒genau,exakt
irdisch;英 earthly≒weltlich ⇔himmlisch
・das irdische Pradies;この世の楽園
→→der Himmel;英heaven
諺・Es ist dafuer gesorgt,dass die Baeume
nich in den Himmel wachsen.
(ものにはおのずから限度あり<<<樹木が天まで
達しないよう配慮されている。)



今日から新コーナー。
今日の音楽***
Jacques Loussier+Bobby Mcferrin
何度見てもすごい。。かわいい音楽の妖精たちが、
彼らの周りでひよひよと飛んでいるのが見える感じ。
なんなんだこの空間は。わたしもここにいたかった!
by sachiolin | 2009-09-12 07:57 | 考〇