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わたしの心の風景メモ。 


by sachiolin
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空 ( ) 池澤夏樹

夕焼けがないところでは言葉で夕焼けを作ることもできよう。死んだもののことは言葉で語るほかない。しかしこの瞬間に目前にある物を捕える力は言葉にはない。記述や描写や表現は、過去の事物と、遠方と、死者を語るためのものだ。言葉の積み木をいくら積んでも、この世界は作れない。世界というのは空や三檣帆船の雲、椰子、砂、珊瑚の中で巨大な地球儀の形に成育するサフラン色の珊瑚、木々を揺らす風、満天の星、岩の上に置かれた蟹のぬけ殻、すばやく走るヤモリなどであって、これらには過去がない。百万の言葉を組み合わせても、一本の木も作れない。だからぼくは、さっき書いたとおり、夕焼けを見ても言葉をもてあそばず、ただ精一杯の感激をこめてため息をつけばそれでいいのだ。


池澤夏樹「夏の朝の成層圏」
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by sachiolin | 2013-07-02 01:16 | 空 ( )
「バイオリンの音は空を漂っていく、神さまへのプレゼント。
だから、弦を押さえつける感覚は厳禁。弦はあくまでも
中空で振るわせる感覚なんだ。」

「音の強弱をどうつけるのかということでなく、
問題は音色をいかに奏でるか、だ」

「それぞれの間に、10ではきかない色の違いがある。
白黒でなく、無限に色のニュアンス、色のパレットがあるんだ」



(ジュリアーノ・カルミニョーラ ::読売新聞 )


ヒエー。カッコヨイ。バロックヴァイオリン、いいなぁ… 
いつかまた弾きたい。古楽って麻薬のような魅力がある。
音楽の根源というか、原石というか。たまらない。



瑞々しいアンサンブル。



やっぱりいい曲。

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by sachiolin | 2010-12-03 01:23 | 空 ( )

空 ( ) 老子

「遊園地の
大きな観覧車を想像してくれたまえ。
沢山のスポークが
輪の中心の甑(こしき)から出ているが
この中心の甑は空っぽだ。だからそれは
数々のスポークを受けとめ、
大きな観覧車を動かす軸になっている。

粘土をこねくって
ひとつの器をつくるんだが

器は、かならず
中がくりぬかれて空(うつろ)になっている。
この空の部分があってはじめて
器は役に立つ。
中がつまっていたら
何の役にも立ちゃしない。

同じように、
どの家にも部屋があって
その部屋は、うつろな空間だ。
もし部屋が空ではなくて
ぎっしりつまっていたら
まるっきり使いものにならん。
うつろで空いていること、
それが家の有用性なのだ。

これで分かるように
私たちは物が役立つと思うけれど
じつは物の内側の、
何もない虚のスペースこそ、
本当に役に立っているのだ。」

(加島祥造「タオ 老子」より)
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by sachiolin | 2010-11-28 00:36 | 空 ( )

空 ( ) 武満徹

「翼」

風よ 雲よ 光よ
夢を運ぶ 翼
遙かなる空に描く 希望という字を

人は夢み旅して いつか空を飛ぶ

風よ 雲よ 光よ
夢を運ぶ 翼
遙かなる空に描く 自由という字を
自由という字を


(武満徹)







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by sachiolin | 2010-11-07 01:46 | 空 ( )
仕事が終わって丸一日経って、やっと少し落ち着いた。
昨日は、海に浮かぶ船が大きく舵を切り返した日だった。
船の中で少し船酔いがして、空を見上げた。
ツバメが沢山青い空に輪を描いていた。


最後のコンサートは笑顔で楽しく弾き切った。
ところが、同僚とお別れのハグをすると、涙がまたあふれ出た。
心の奥深くにある水門が、ここ数日全開だった。
感情がこれほど表に出てきたことはひさしぶりだった。
記憶が深いところが釣りあげられるのもひさしぶりだった。

今静かにゆっくりと水門が閉まっていく。

長い長いドイツへの旅と停留が終わりを向かえ、
今日からは、日本への船旅が始まったという心持がする。
ぐるりと方向転換し、大海原を静かに船が滑りだした。


今日も空がきれい。




今日の言葉*

「肝心な点は、感動すること、愛すること、
望むこと、身ぶいすること、生きることです」

(ロダン)
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by sachiolin | 2010-07-06 21:49