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わたしの心の風景メモ。 


by sachiolin
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<   2011年 09月 ( 5 )   > この月の画像一覧


「人間とは常に人間になりつつある存在だ/かつて教えられたその言葉が
しこりのように胸の奥に残っている
成人とは人に成ること もしそうなら
私たちはみな日々成人の日を生きている
完全な人間はどこにもいない
人間とは何かを知りつくしている者もいない
だからみな問いかけるのだ
人間とはいったい何かを
そしてみな答えているのだ その問いに
毎日のささやかな行動で
人は人を傷つける 人は人を慰める
人は人を怖れ 人は人を求める
子どもとおとなの区別がどこにあるのか
子どもは生まれでたそのときから小さなおとな
おとなは一生大きな子ども
どんな美しい記念の晴着も
どんな華やかなお祝いの花束も
それだけではきみをおとなにはしてくれない
他人のうちに自分と同じ美しさをみとめ
自分のうちに他人と同じ醜さをみとめ
でき上がったどんな権威にもしばられず
流れ動く多数の意見にまどわされず
とらわれぬ子どもの魂で
いまあるものを組み なおしつくりかえる
それこそがおとなの始まり
永遠に終らないおとなへの出発点
人間が人間になりつづけるための
苦しみと喜びの方法論だ」


(谷川俊太郎)
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by sachiolin | 2011-09-25 01:39 | 引用:: | Trackback | Comments(0)

考○好奇心と勇気。

電車のなかで、髪を噴水みたいに結んだ女の子。
目がキラキラしていて、おしゃべりさん。
女の子なのに、電車がとても好きなよう。
高速で通り過ぎる特急を、ひとめで名前を呼ぶ。


「ねえパパ、なんでこの電車遅れてるの?
電車、時間食べられちゃったの?」

「はぁ?お前何言ってるの。時間食べられたぁ?」

パパにコツンと頭を叩かれていた。 

すたすたと歩いて行って、
パパさんの頭をコツンと叩きたかった。 


コツン



おとなは、誰しも子どもだったのになあ。
多分、忘れてしまっているだけなんだろうけど。



おとなが一枚の画用紙でうんうん唸って描いているうちに、
こどもは描いては破り描いては破る。何枚も何枚も
マッサラな画用紙を持っている。いくらでもある。


この世界を驚きをもって眺めている。
こどもの目からあふれ出る好奇心というものは、
自分との境界線、画用紙を破る音だ。


好奇心と勇気のことを考えている。


恋とは、好奇心で、
愛とは、勇気、のような気がする。


好奇心は、自分と違うものに惹かれる心。
自分との「違い」をのみ込みながら、自分の境界線がとけて、
アメーバみたいに、大きくなって変わっていく。 
自分主体の、自分のための、破壊と増殖。


勇気は、自分を砕いて、自分を粉にして、なにかのために
暗闇に一歩踏み出す覚悟。なにか/だれかを見守り続ける気持ち。 
相手主体の、誰かのための、破砕と前進。


好奇心は点、もしくは同心円の重なりで、
勇気は線、もしくは前進する半円。


こどもは、この世界のあらゆるものに恋をしている。
こどもは、恋をやめない。恋はやめられない。

こどもは、好奇心のかたまり。
おとなは、勇気のかたまり、でありたいものだ。
ほんとうは。

好奇心も勇気もないおとなは、
かなしいおとなだなあ。
でもかなしいおとなは多い。
かなしくないおとなは少ない。

そういうおとなが集まって、
こういう日本ができている気がする。

そのことがかなしい。

こどもを大切にしない社会は、
何よりも最低だもの。最悪だもの。




教えていても、好奇心と勇気は、
すごく大切だなと、思う。


目の前の人の好奇心をどう引っ張り出せるか、
じっとじっと観察する。あの手この手で引っ張り出す。
学ぶことは、本当は楽しいことで、学びスイッチが入れば、
やめようにも、やめられないものなのだと思う。
本当の学びとは、恋なのだと思う。
その学びとそっと寄り添うには、がまんと勇気が要る。

目の前の人が、いつか、ひとりで歩んでいけるように、
恋心をつけてもらって、愛を育んでもらえるようにと願う。

自分と楽器との長き道のり。


恋は好奇心。
愛は勇気。


かなしくないおとなであろう。
この世界に恋していよう。
心に勇気を携えて歩こう。



今日の言葉*

「真の自己とは、自身の外にあるものです。
私がこの箇所(鏡の中の鏡第2話)で言っているのは、
自身に課せられた課題をつかまえよ、ということなのです。
自分の内部に探すのではなくて、課題は外なる生がもたらしてくれる。
外からこちらに近づいてくる。これが本当に大事なことです」


(ミヒャエル・エンデ)
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by sachiolin | 2011-09-25 01:35 | 考〇 | Trackback | Comments(0)
///

一度見られた夢は、無に帰すということはない。
だが、それを見た人間が覚えていない夢はどこへゆくのか?
ここ、ファンタージエンにきて、地下深くに収まる。
忘れられた夢は、地下で、薄い薄い層になり積み重なってゆく。
深く掘れば掘るほど、夢の層は密になっている。

(ミヒャエル・エンデ「はてしない物語」)

///
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by sachiolin | 2011-09-25 00:43 | 夢 /// | Trackback | Comments(0)

聴● Richter

不意に、リヒテルのピアノの音色が
聞きたくなった。その音に耳を傾けていると、
この人が命をかけて向き合った孤独が、闇のようにも
石の塊のようにも、そして、光のようにも
迫ってくる。音を織物のように紡ぐというより、
彫刻家が石を刀で削り続けるようにして到達した、
ひとつの音の石像が見えてくるようだ。
もしくは、その、正に削りとっている音なのかもしれない。

いずれにしても、ものすごく惹かれる音色だ。
ミケランジェリのキラキラとした音色にも、
コルトーのピアノという楽器を超越した音色にも、
幾度も魅了されるが、リヒテルの音には、独特の
生々しさ、がある。その生々しさは、
エゴン・シ―レの描く絵のにもどこか似ている。






今日の言葉*

われわれは個体以上のものである。
われわれは鎖のあらゆる未来の使命
をもふくめた鎖全体なのだ

(ニーチェ)
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by sachiolin | 2011-09-16 01:15 | 聴● | Trackback | Comments(0)

空 ( ) 村上春樹

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 「そのとおり」、僕は 舌の上でレモンドロップを転がした。「黙って他人の家の庭に入ったりするようなときには、好奇心と勇気は一緒に行動しているように見える。ときによっては、好奇心は勇気を掘り起こして、かきたててもくれる。でも好奇心というものはほとんどの場合すぐに消えてしまうんだ。勇気の方がずっと長い道のりを進まなくちゃならない。好奇心というのは信用のできない調子のよい友達と同じだよ。君のことを焚きつけるだけ焚きつけて、適当なところですっと消えてしまうことだってある。そうなると、そのあと君はひとりで自分の勇気をかき集めてなんとかやっていかなくちゃならない」
 彼女はそれについてしばらく考えていた。「そうね」と彼女は言った。「たしかにそういう考え方もあるかもね」、笠原メイは椅子から立ち上がると、ショートパンツのお尻についたほこりを手ではたいた。


(村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」)
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by sachiolin | 2011-09-06 00:36 | Trackback | Comments(0)