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わたしの心の風景メモ。 


by sachiolin
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<   2010年 08月 ( 6 )   > この月の画像一覧

日常ブロック・10

日常に、非常なる無常を感じる。
日常のことを考え出したら、
とまらなくなって、朝になってしまった。
久しぶりに、頭がフル回転して、
「考える」ということを楽しんだ。
日常は、水道から流れ続ける水の
ようなものだ、という考えにいたる。
それについては、書きだしたら、
またとまらなくなって、まとまらなくなった。

とまらないし、まとまらない。
なんか、似てるわね。


いま、いろいろあって、
家でひとりなのである。

日本に帰ってきてから、
お家でお初のひとりデイなのである。

ひとり、というのは大切だな
ひとりの時間、というのは必要だな
と、あらためて感じる。

これは、ひとつ前の日記と、言ってることが
違うようでいて、同じなのだ。ふたつでひとつ。

どちらかだけではいけない。
行ったり来たり。

地下に穴を掘る作業と、
地上に出ることと
地下水でつながること。



村上春樹の「回転木馬のデッドヒート」を
夢中で読んでいる。すごく面白い。

彼にとっての「おり」のようなものが、
わたしにとっては、日常ブロックなのだろうと気付く。
自分のなかに静かにゆっくりと沈殿していくもの。



日常ブロック、10個目無駄に更新。

別れにセンチメンタルになっていた私に、友人が、旦那さんがちょうどこんなこと話してたのよと。「人と人は、どうしても、どう考えても、その時、同じ方向には、行けないって事があるんだよね、だって。 でも、だからといって、目指す場所が違うのかって言うと、そうとは限らなくて。その時、くるっと背を向けあって、まったくの正反対の方向に、歩き出したとしても、 例えば地球の上なら、丸いから、地球の反対側で、ばったり出くわしちゃったりするんだよね、だって。」 そうかもね。出会うべく人とは出会うべくして会う。再会も同じなのかも。それを楽しみに。 委ねるか。

アパートの住人と立ち話「いつ引っ越すの?あらもうすぐねぇ。引越しってほんとーっに大変な作業よね。私もロンドンに長く住んでいたのだけど、あそこから移るときは大変だった。物には思いが詰まっているけど、涙涙で、捨てた。辛かったなぁ。それでもまだロンドンにコンテナ一つ残してあるの」 !!

今日は珍しく曇っている。灰色の空なんて、いつから見ていなかっただろう。屋根が湿っている。町のトーンが3段階くらい下がっている。密かにこういう日を待ち望んでいた。雨の匂いが、すき。


アパートの中庭で、こどもが気持よさそうに歌っている。ご機嫌。

キッチンから見える雨樋で、鳩がデートしている。デート中を観察していたら、さっき、目が合った。「ども、人間です。」と手を振ったら、「うわ、人間だ。」と仰け反っていた。デート中だったのに、ごめん。

夜もおそまで働いたのに朝もはよから働いた。今朝は家具がまたひとつ引き取られた。また、家が箱っぽくなった。いろんな物でごまかされていたけれど、私はこんな四角い空間で毎日生きていたらしい。段ボールも四角い。どんどん四角に囲まれる。ヴァイオリンが四角くなくてよかった~。

今日は外で用事をこなした。本屋に立ち寄ってしまい、いつの間にか沢山手にとって、レジに向かっていた。7冊。アレ・・・・こんなはずじゃぁなかったのに。小さい本だからよいのでしょう。きっと。

日本ですぐに必要な楽譜を、段ボールの底の方に入れてしまったことが発覚し、発掘作業。あぁ。。。 テープをしていなかったのが、救い。  

日本にいる敬愛する先生と電話。久しぶりに声を聞いて、突然元気になった。片付かないで、泣きそうだったけど、今は違う意味で泣きそうだ。 先生にもうすぐ会えるなんて嬉しい。

荷物の重さを測るついでに、体重計に乗ってみたら、3日で2㌔痩せていたゾ。プチダイエットなり。笑 食べるの忘れないようにしないと!


友達が助けに来てくれた・・・・ ありがたやありがたや。 人がそこにいてくれるだけで、こんなに気持が楽になるとは・・・! ありがたやー あと8時間!

お、お、おわったぁ・・・ 詰め終わったぁ 友達のおかげ。大感謝。涙。意識が飛びそうだったので、しりとりをしながら、何とか続けた。これであと数時間後に業者が段ボールを取りに来て…残るは大掃除だ。。。 ふぅ。

しりとりがおわらない。

今朝は、段ボール引き取りにくる前に一応起きる予定が、結局ブザーの音で飛び起きた。仕方なく、パジャマのままで、ご対面。お兄さん、一瞬、フリーズしてた。ごめんなさい。 ひょいひょいと運ぶ姿に、「すごいねぇ大きくなったねぇ」と最早祖母目線。全て終わり鏡を見たらTシャツ裏返ってた(!)

月が、本当に美しくて、思わず見惚れてしまった。あの光は、反射光なのだよなぁ…と思うと、随分と不思議な気分になった。月の光が、いろいろなものたちを、やさしく照らしてくれた。夜の大きなまあるい鏡。

バスにすこし揺られて、赤十字へ行ってきて、置いていきたい洋服や靴などを、コンテナに入れてきた。 どこかの誰かが、使ってくれたら、有難い。 ものを捨てることがなかなかできない私。穴のあいた靴下にも、「今までどうもありがとう」と合掌している私。我ながら、変なやつだなー。

早朝に母親と散歩しながら、少し遠くのスーパーに行った。人の家なのに、指さしながら「この花はねぇ」と説明する母に、おいおいと思った。「この花、もうこんなに大きくなった!きれいだねぇ」と楽しそうだった。蝉の声、野球場、公園。なんでもない、ああいう夏の時間が、いとおしい。

タケシタドオリを、歩いた。若い人の熱気とお店の雰囲気に、ぽっかーん。所謂コスプレっぽい人も見かけて、ぽっかーん。 呆然。すごい世界じゃ。 前からはドイツ語が聞こえて、後ろからは韓国語、横からは中国語が聞こえた。昔より、町の中で、外国人をよく見かける気がする。

半月がきれいだった。月ってやつは、私をいつでもどこでも、魅了する。空に浮かぶ大きな鏡。今夜もありがとう。

テレビで野球のニュースが流れ、庭の花を太陽が照らし、簾を風が静かに揺らす。隣りで、母親が新聞を読んでいる。 ただそれだけのことなのだけど、ただそれだけで、幸せだ。

暑くて早朝に目が覚める。カーテンがふわりと揺れるのをじっと見ていると不思議な気分になる。まるで呼吸しているみたいだ。最近よくフェリーニの映画の有名なシーンを思い出す




今日は涼しくて、体が随分楽だ・・・。リンパの腫れと痛みも少しおさまった。 アレルギー結膜炎になってしまったので当分メガネ人間。ぐすん。 やはり、疲れがたまっていたんだなぁと実感。新しい環境と生活で、体も驚いている。 もう少しきちんと休もう。

桃を細かく刻んで、ヨーグルトと食べる。美味しい。やさしい味。少しベージュがかった白色に、ほんのりやさしいピンク色。なんてかわいい色なんだろう。自然の色には、かなわない。

本屋さんで、ちびっこたちが、熱心に本を読んでいた。すごい集中力に、感心。 

台風が去った後の夕空は、澄みきっていたなぁ。空を見ると、心が広がる。

G線が切れた。一番太い弦なのに。高いのに。まだそんなに古くないのに。明日合わせなのに。なのになのに。。。 この弦で、こういう切れ方したのは初めてだ。やっぱりこの湿気で、参ったようだな。やっと出会ったこの弦だが日本の環境には合ってないかな。。弦の張り替えは、いつも神経を使う。

今日は8時間くらい、楽器を弾いた。ものすごく濃厚な時間だった。。。

明日は眼医者にいって、コンタクトを新調する。結膜炎完治しているとよいな。 眼医者さんというのは、朝から晩まで小さい穴から人の目をずっとのぞいていて、考えてみると、不思議なお仕事だよなぁ、とはたと思った。  小さい頃、人の瞳の中に自分が映っているのを見るのが好きだった。

やっと、終わった。こんなに文字を書いたのは、ひさしぶりだ。疲。。。 明日は移動。月曜日まで、気が抜けない。がんばるぞー。 おやすみなさい、世界。

月が静かに照っていて、遠くから盆踊りの音が聞こえてくる。浴衣を着た小さい女の子がお父さんに手を引かれて、お祭りに急ぐ。野原からジージージーと虫の音が聞こえ、生温かい風がじっとりとまとわりつく。 なつかしい、ニッポンの夏。

月を見ながら、「人のかなしみを、簡単に分かった気になるなよ。」と自分に言い聞かせる。 
あの黄色く光っている月には、きっとだれかがいるに違いないと、私がこうして月をみているように、だれかがあそこで地球をみているに違いないと、なぜだか、そうしっかりと思って、しばらく立ちすくんだ。 やっぱり、夜の時間が、すきだな。ひとりの時間も、すきだな。
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by sachiolin | 2010-08-22 06:15 | 常・

かけら◆15

「日々思いついては消えていったり
日々他からもらってはためていったかけらを、
たまに書いていこうかなと・・・」思っていたが、
まったくもって忘れていた。

すっかり溜まってしまったが、
これからは、小出しにしよう。


本日15回目の試み。

基本的にごちゃごちゃの100%自分のための
メモなので、 あしからず…。
ごちゃごちゃが、いつかどこかで
繋がったりしたら面白いなぁ~



◆ 同じ方向性で、閉じていかないこと。対極を、敢えて試してみる
◆ぶつかって生まれることと、とけあって生まれること

◆予習と復習。セットアップとフィードバック。 
 行きつ戻りつ、少しずつ前進すること。

◆話すことと聞くこと。アウトプットとインプット。
 吐くことと吸うこと。ふたつでひとつ。

◆読む(目)、聞く(耳)、話す(口・耳)、触る(皮膚)

◆分かる・分かつ・分かち合う

◆「なぜ人が楽しそうに笑っていると、
こちらも楽しく笑えてくるのでしょうか?
笑いはなぜ伝染するのでしょうか?」
「きっと魂が共振しているのでしょう」

◆リアルとバーチャルの間。 
 イマジネーションとファンタジーの間。 
 光と影の間。昼と夜の間。心と体の間。  
 人と人の間。

◆「人間」ってものについて。

◆何を主軸に置くか。

◆ふたを開けること

◆目を逸らさない力、ふたを閉じない力、否定を否定しない力

◆大切にしたいこと3つ;続けること、待つこと、見守ること。

◆「全ては知ることから始まる」

◆音の速さ;340m/秒(1気圧・気温15度のとき) 
◆光の速さ;約30万km/秒(真空で。地球を約7回半。水中だと3/4)
◆ニュートリノは水中でも光と同速

◆自分という生き物をあっという間に知らない間に、
 突き抜けているものが、ある、ということ

◆人間なんて、宇宙からみたら、スカスカ。

◆「人には口が一つなのに、耳は二つあるのは何故だろうか。
それは自分が話す倍だけ他人の話を聞かなければならないからだ。」
(ユダヤの格言)




◆セットアップの大切さ 指の動きは一番最後。
◆体幹ー腕・足ー指先ー楽器/弓  

◆間違った音を出してしまう? 
<<<音になるまでのイメージ(音・身体) 
◆イメージの音とリアルの音の狭間  
◆練習で、その狭間の時間を縮めていく 
◆音を垂れ流さない 
◆待つ 
◆セットアップ   


◆「何でこの人はこうなんだ!」と終りにするのではなく、
「何がその人をそうさせたのか?と、背景を見ること。
◆ズームアウト。 
◆徹底的に相手の立場/目線に立ってみること。 

◆こちら側からそちら側を見るだけでなく、
あちら側に回って見ること。
◆紙芝居の読み手に共になってみること。

◆じっと見守って、すーっと静かに
浮かびあがってくるものを、待つ。

◆「同じものを、同じ方向から見る」こと。 
◆対峙しない。向き合わない。真正面からぶつからない。
◆横並びの距離感、間。 
◆小津安二郎的?日本的? 
◆↑↑ ↓↓ → ←  ←→ 
◆西欧的、対話、スタンス、愛の語り方との違い。  
◆演奏会。映画館。土手。花火。 


再考◆西欧的凸と日本的凹。 
◆自我を地上から積み上げて「作り上げる」
◆地上を共有し地下に掘り下げて「出来上がる」 
◆違いが目に見えやすい・見えにくい 
◆「違い」をぶつけることで生み出す・
◆「同じ」を共有して「違い」を消す。
「同じ」の誤差から、共に変化していき、方向が決まっていく


◆壁投げ、空投げ、キャッチボール、ドッジボール  
◆ひとり、ふたり、それ以上  


◆「エライ・スゴイ」について考。
◆人が人を裁くこと、評価すること、格付けること。
--------- 自分で自分を裁くこと、認めること、信じること。  
◆あわい。


◆言葉にできないことは、言葉にすべきでない

◆紙について考。
◆メモしたい!と思ったときにすぐにできる。
◆起動しなくてもよい。
◆いつでもONの状態。
◆好きな形に折り曲げられる
◆好きな大きさに切ることもできる。
◆持ち運べる。
◆薄い軽い柔らかい。


◆「もの」と「こと」
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by sachiolin | 2010-08-19 00:41 | かけら◆

~~ 蝉のかたち

今日も道端で死に絶えた蝉を見た。
仰向けにひっくりかえって、
足をすぼめて、宙をみつめ、空っぽになった、
その目の前の生き物の「かたち」には、
どことなく美しささえ、おぼえた。

それはまさに「器」だった。
不思議な正しさを感じる「器」だった。

死の香りが、仄かに、アスファルトに漂っていた。 


それはもはや、
かたち、であって、
かたち、でなかった。

命の残り香であり、
死の湯煙だった。


強く強く照りつける太陽に向かって、
それと関係なしに玲瓏と立ち上る、
ほそながい、命の気体をそこに見た。


かたち、について、私はしばらく考えた。
かたち、なんて、なければよいのに、とも考えた。
こういうかたちに、なれればよいのに、とも考えた。
こういうかたちで、死ねたらよいのに、とも考えた。

もし自分がこの蝉だったら、と考えた。


ミーンミンミンミンミンと、蝉が鳴き、
じーんじりじりじりじりと、太陽が照りつけた。


死の香りが、仄かに、アスファルトに漂っていた。 
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by sachiolin | 2010-08-19 00:16 | 綴 ~~
「ちいちゃんのかげおくり」
というお話を初めて読んだ。

読み終わった瞬間、
鳥肌がぞわぞわっと立った。

もうすぐであふれそうだった涙が、
すーっと体内に流れ落ちていき、
おなかの中にたまった。 

流れ切らない涙たちの、そういう水たまりを、
おなかに抱えているのは、不思議だけど、
なんとなく、それは大切なんだろうと感じる。


涙がどこから出てくるのか。

目は行き止まりなのだろうが、
体の底とつながっていると思う。


あふれてくる涙がある。
水たまりで地震が起きて、噴出する涙。
自分ではとめようのない涙。

流れ切らなかった涙がある。
ぐっと我慢して、しっかりおなかで支える涙。



戦争というものを、私たちは体験していない。

戦争のことを考えるとき、聞くとき、
私のなかの、水たまりが、震える。
ここで踏ん張らないといけない、と感じる。
おなかでぐっと支えないといけない、と感じる。


そのときに、
どれだけのものが、
どれだけの人の中を駆け巡り、
どれだけの人生がかき乱され、
どれだけの人生が消えていったのだろうと、
その、巨大な悲しみや喪失感を、
戦争を知らない私たちは、
ぐっと、聞くことしかできない。


テレビで、おじいさんが、
戦友の写真を手に、
「あの時に私は共に死ねなかった」と、
空気中の穴を見つめて、つぶやいていた。

「死に切れない」という言葉に、
これほど深いかなしみを感じたのは、
初めてのことだった。

おじいさんの中では、今も生き続けている
影があり、友があり、自分があるのかもしれない。


私には、今は、ただ、聞くことしかできない。
そのことは、非常に自分をかなしませるが、
「聞くこと」の持つ力を、信じるしかない。


流れ切らなかった水滴が、水たまりに
ぽたんとぽたんと、落ちていく。

ぐっと我慢して、ぐっとおなかを支えて。




きっと、あのときの、あの日のように、
蝉が、ミンミンと、鳴いている。

夏はめぐる。
8月15日は、めぐっていく。






今日の言葉*

「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、
ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに」

(井上ひさし)
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by sachiolin | 2010-08-17 15:58 | 読◇Fiktion

空 ( ) 宮沢賢治

わたくしといふ現象は
假定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち、その電燈は失はれ)

これらは二十二箇月の
過去とかんずる方角から
紙と鑛質インクをつらね
(すべてわたくしと明滅し
 みんなが同時に感ずるもの)
ここまでたもちつゞけられた
かげとひかりのひとくさりづつ
そのとほりの心象スケッチです

これらについて人や銀河や修羅や海膽は
宇宙塵をたべ、または空気や塩水を呼吸しながら
それぞれ新鮮な本体論もかんがへませうが
それらも畢竟こゝろのひとつの風物です
たゞたしかに記録されたこれらのけしきは
記録されたそのとほりのこのけしきで
それが虚無ならば虚無自身がこのとほりで
ある程度まではみんなに共通いたします
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに
 みんなのおのおののなかのすべてですから)

けれどもこれら新世代沖積世の
巨大に明るい時間の集積のなかで
正しくうつされた筈のこれらのことばが
わづかその一點にも均しい明暗のうちに
   (あるひは修羅の十億年)
すでにはやくもその組立や質を變じ
しかもわたくしも印刷者も
それを変らないとして感ずることは
傾向としてはあり得ます
けだしわれわれがわれわれの感官や
風景や人物をかんずるやうに
そしてたゞ共通に感ずるだけであるやうに
記録や歴史、あるひは地史といふものも
それのいろいろの論料といっしょに
(因果の時空的制約のもとに)
われわれがかんじてゐるのに過ぎません
おそらくこれから二千年もたったころは
それ相當のちがった地質學が流用され
相當した證據もまた次次過去から現出し
みんなは二千年ぐらゐ前には
青ぞらいっぱいの無色な孔雀が居たとおもひ
新進の大學士たちは気圏のいちばんの上層
きらびやかな氷窒素のあたりから
すてきな化石を發堀したり
あるひは白堊紀砂岩の層面に
透明な人類の巨大な足跡を
発見するかもしれません

すべてこれらの命題は
心象や時間それ自身の性質として
第四次延長のなかで主張されます

(大正十三年一月廿日  宮澤賢治 )
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by sachiolin | 2010-08-09 21:36 | 空 ( )

完全帰国日のメモリー

完全帰国して、1週間が経った。
携帯電話なども購入し、まったく新しい
生活が、ゆるりと始まっている。


今回の引っ越しは「壮絶」の二文字に集約される。
「荷物を詰める」以上に、「ごみを捨てる」
という行為が、これほどまでに大変だとは
思いもしていなかった…。まさかの最後の
数分数秒まで、ごみ捨ての嵐。この国を去るのだ
という思いに浸る、そんなセンチメンタルな時間は、
空港に着くまで微塵も許されていなかった。微塵も。

どうにかなるだろう、と、どこかで甘く考えていた
私の完全なる計算ミス。自分の責任。全くひどいもんだ。
こういうことも、自分ひとりの話だったら、
「笑い話」にもできるのだけれど、
結局友人を巻き込んでしまったので、
帰国してからも、悪かったなぁ…とずっと
自己嫌悪に陥って、後味の悪い帰国となってしまった。


どうにか…ならなかった。友人の助けがなかったら!
どうにも…ならなかった。友人の助けがなかったら!


とことん付き合ってくれて、
とことん助けてくれて、本当にどうもありがとう。

このご恩は一生忘れません。。。



50キロ制限の完全帰国特別便を利用したのだが、
チェックインで重さを測ってみると、2つの
スーツケースで、まさかの57キロ!!!
目の前の、ドイツ人のおふたり。

「あれ?これ50キロまでなんだけどなぁ。
 7キロもオーバーしてるし。これについてどう思う?」
「うーん。そうねぇ。。50キロって打ちこんじゃぇ」
「ん?あ、そうね。よい考えね!」

メーターを見て、フリーズしていた私は、
(そそそそれは、よい考えデス!)と、
心の中で、大きく叫んだ。
目の前のふたりが、神様に見えた。


片づけに、秒読みで必死だった私は、
スーツケースを預けたら、少し力が抜けて
「そういえば、今日帰るんだった」ということに
あらためて気づいて、飛行機に乗るまでの時間、
同僚や友達に、別れの電話をした。

こういう時に、その人となりがでて面白い。
割とサバサバと受け答えて、さわやかに見送る人。
最後の瞬間まで優しい声をかけ続けてくれる人。
別れは嫌だから、また会おうね!といってくれる人。

色々。


ある一人の言葉が心に残った。


「これから空の上で、あなたの人生のページが
 めくられるのね。第何章になるのかしら?
 うん、そうね、第3章くらいね。
 あなたに会えなくなってしまうのは、
 とっても残念だし、さびしいけれど、
 この決断はあなたにとって正しかったのでしょう。
 あなたのこれからの人生が、ますますキラキラと
 輝きますように。幸せがたくさん訪れますように。
 私、心から、祈っているわ。本当よ。
 またいつでも、私たちを訪ねにきてね。ね?絶対よ。
 楽しみにしているからね。どうぞ元気でね。さようなら。」


彼女とのこの電話で、一瞬時が止まった。
ああ、本当に、今、お別れなのだ、と思った。
彼女に会って思い切りハグしたくなった。

引っ越しで必死で、忘れていたけれど、
感情のふたが、封印されていたけれど、
一気に涙が井戸の下から溢れてきた。


これ以上、話したら、きつかったので、
何とか「うん、元気で」とだけ言って、
電話を切った。

沢山の人が、飛行機に乗り込んでいく。
私も、最後のひとりとして、その
乗り物に、吸収された。

「ドイツ、バイバイ」と、心の中でつぶやいた。




母国、日本で、飛行機を降りた瞬間、
むわぁっと、生温かい空気が私を包んだ。

「なんだこれは!」と思わず口にした。

帰ってきたのだ、私は。
この湿気は、本物だ。


巨大なスーツケース2個は、カートに
何とおさまりきらず、仕方がないから、
一つを載せて押しつつ、一つを手で運んだ。
背中には楽器を背負って、手荷物も二つ。
ちょっと、ひとりサーカス団みたいだった。


完全帰国のための手続きを済ませて、
宅配便で送ろうと、頼んだ。

しかし、送ろうとしたスーツケースは、
32,5キロだった。32キロ以上は、
代金が、ものすごく上乗せされる。

「ハイ、500グラムオーバーでだめですね。
 どうされます?なにか本でも抜きますか?
 はい。では。あーーお客さん、そこは
 邪魔なんで、あっち行ってください」

と、大荷物なのに、かなり遠くへと
冷たく追いやられた。スーツケースを減量
して、また荷物を全部持って、会計へ
えっちらおっちら移動。

「あ、ここ、持ち手がちぎれかけてますねー。
 あ、この底のところ、どうしたんですか?ふっ。」
と、鼻で笑われて、ぼろぼろのスーツケースと
同じように、私の心もちぎれかけた。

疲れで、もう、私の中の何かが壊れかけて、
人目も気にせず床に座ってわんわん泣きたかった。


7キロオーバーしても、笑顔でオーケーしてくれたのに、
500グラムオーバーで、問答無用にだめなんだ。
これが、日本かー融通がきかないなーマニュアル通りだなー
何かかなしいなー対応がとにかく冷たいなー

と、日本の第一印象は最悪だった。


それでも、何とかひとつのスーツケースを
減量成功して、送ることができた。


エスカレーターの横にかかれた
「おかえりなさい」の文字が
心に刻まれる。かえってきたんだね。

駅のキオスクで、ペットボトルのお茶と
あんぱんを、買った。涙が出るくらい、
美味しかった。日本の繊細な味。懐かしい味。


乗り換えの近くの駅まで、父親が迎えにきてくれた。

「空港まで車できて」と頼んでもよかったし
ここまで大変なら甘えるべきだったのだけど、
なんとなく、それはしたくなかった。

予想をはるかに超えた大荷物に
目を丸くして、「言えばよかったのに…」と
汗だくで、スーツケースを運んでくれた。
家族の顔をみたら、初めて、
「つつつつかれた~~~~~~」と
蚊の鳴くような声が、自分から出た。

家にたどりついた。
本当に、たどりついた、という感じ。


長旅だった。想像以上の長旅だった。
壮絶だった。ちょっと、死ぬかと思った。


あぁ。お疲れ様、自分。
あぁ。帰ってきたよ、日本。


ゆるりと、やっていこう。

ゆるりゆるり。

人生は長いから。
あせらず、さわがず、
ゆるりゆるり。



今日の言葉*

「いいかお前たち。常識を壊すってことは、
明日からまともに電車にも乗れなくなるってことだよ。
それで悩むだろ。でも僕らは永遠のいのちを手に入れようと
してるんだ。それにくらべて、30年や40年の悩みなんて、
どうってことはないだろ。」
「どうして人は戦争なんてしてひっどい殺し合い
なんて醜いことをするか知ってるか? この世界に
これっぽちも希望がないからだよ! くっだらない科学や
芸術や哲学が、嘘ばっかりの世界をつくってきたんだ。
いいかお前たち。僕らは死なないんだよ?」

荒川修作
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by sachiolin | 2010-08-08 01:51