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わたしの心の風景メモ。 


by sachiolin
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<   2007年 08月 ( 1 )   > この月の画像一覧

私の知らない私

今回の日本滞在中で、
母とは一度だけ喧嘩した。
たったの一回。
昔を考えると、圧倒的に少ない。

よく、信じられないと言われるが
私と母はよく喧嘩をした。
私はわんわん泣いて
母もひぃひぃ怒って
でもそれはそれで母も泣きそうな
顔をしていた気がする。


今回は、日本の猛暑にも見舞われて
いらいらしていた私は、あるとき、
「お母さんのそういうところ、
昔から大嫌いだったんだから!」と
口走ってしまった。
人と会う用事があったから、
そのまま家を飛び出た。
歩けば歩くほど、私の後悔は
大きくなっていった。心のどこかで
棘がきりきりと沈んでいく感じがした。

目的地に予定より早く着いた私は、
家に電話をした。
「さっきはごめんね。」
「うん、お母さん大丈夫よ。」
明るい声に少しほっとした。



早起きの母は、無論23時ごろをすぎると
もう瞼が重くなる。寝るまでの時間、
まるで儀式のように必ずテレビをつける。
私がちょいと部屋を覗いてみると、きまって、
テレビだけが、煌々と光を発して、
母は、すやすやと眠っているのだった。
必然と抜き足差し足で、忍び寄って、
テレビの電気を消すのが私の仕事になった。
すーすーと寝息を立てて、
静かに上下するその背中を見ていたら
何だか無性に切なくなった。
昔より何だか小さくなったなぁ。
細くなったなぁ。
年取ったなぁ。
苦労をかけたなぁ。(かけてるなぁ…)


家の掃除をしていて、
小さい頃の写真がたくさん出てきた。
そこには、私の知らない私がたくさんいて、
見れば見るほど、無邪気に笑うその女の子が
自分だとは信じられなくなった。

しかし、それは紛れもなく私なのだった。


私の知らない私というのを
あまり考えたことがなかった。
こうして大人になってしまうと、
唯一眠っている時の自分が、
私の知らない私なのだが、
こうして大人になってしまうと、
目が覚めている時間のことだけで精一杯で、
あまりそういう事には、意識がいかない。
無意識の時間が、1日のうちで3分の1も
あるはずなのに、案外その3分の2の
自分が見る世界が全てであるような錯覚に陥る。

だから、その写真を見て、
余計に不思議な感じがした。
気恥ずかしいような、嬉しいような
不思議な気分だった。

私の知らない私は、
本当に無邪気で、けらけらとした
笑い声が今にも聞こえてきそうだった。
私の知らないところで、
私の知らない私は笑って元気に
育ってきたんだと思うと、
涙がつーーっと頬を伝った。
なんもわかってやいやしなかった。


「ありがとね。」と母に言った。




私は日本で生まれて日本で育って
それからドイツに来て
もうかれこれ5年かな。
あっという間の5年だな。
日本に帰る度に、不思議なくらい
毎回違う感情を持つ。
留学してから初めて日本に帰ったときは、
不思議なほどの違和感を感じて
日本のマイナス面ばかりが目についた。
毎年帰るうちに、今度はプラス面が
増えていった。


昔の友人にもたくさん再会した今年の夏、
日本が前よりもっと好きになった。

まるで温泉でも掘り当てたかのように、
自分のルーツを彼らの笑顔に見た気がする。



日本という国、食べ物、文化、
家族という存在、友人という存在は、
本当に本当にかけがえがなくて
温かくて、宝物だなぁとひしひしと感じた。


紛れもない自分、
私の知らない私。

これからの私。




今日の言葉*
「いやならやめろ」
(堀場雅夫)
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by sachiolin | 2007-08-31 07:25 | 思〇 | Comments(2)