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わたしの心の風景メモ。 


by sachiolin
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ヨハネスの死

ヨハネスというそれはそれは背の高い
打楽器専攻の学生がいた。

廊下ですれ違うと
それはそれは背の小さい私は、
「ハローーーー」と
首を真上に上げて声をかけて、
それはそれは背の高いヨハネスは、
「ハローーーー」と
にかっと何とも言えないいい笑顔を返して
悠然と私の横を過ぎ去っていった。

後姿をひょいと振り返ると、
頭が天井につくかつかないかという感じなのに
不思議と変な圧迫感はなく、
ただ悠然と去っていくのだった。
そのゆらゆらとゆっくりと歩く姿に、
私はいつもはっとした。


いつも冗談を言っては皆を笑わせて、
ヨハネスの周りは、ぱっとすぐに
明るくなった。

まるでまっすぐと太陽に向かって
枝を伸ばす美しい大木のような人だった。

その大きな木の下には、鳥が集まり
花が咲き、いつも笑顔があった。



そのヨハネスがおととい亡くなったのだという。
朝、ベットで冷たくなっているのを
発見されたのだという。
突然死だったのだという。

私にはまだ信じられないが、きっと
神様はまた命の灯火をひとつ消されたのだ。


一体なぜ。


信じられない。
心がきしきしと痛む。

命の灯火の儚さを、はたと感じた今日という日。



昨日は木に美しく凍てついていた氷も、
今日は風に吹き飛ばされて、一面の氷畑だった。



サクサクと
踏み歩んでは、
ゆらゆらと
心の灯火が震える。




心からご冥福をお祈りいたします。
どうぞ天国で安らかに。



今日の言葉*
「人皆生を楽しまざるは、死を恐れざる故なり。
 死を恐れざるにはあらず、死の近き事を
 忘れるるなり。」
(吉田兼好)





ヨハネスの死_c0110074_2205072.jpg
by sachiolin | 2007-12-30 02:21 | 思〇