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わたしの心の風景メモ。 


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森と少女

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花はただそこで静かにおだやかに咲いていた。その花を知りたくて、さわりたくて、入ってしまった少女は、森の憤りにふれた。足をすくめ、後ずさりする。よく見ると周りにもたくさんの花が咲いていた。あの時は確かに一輪だったのに、花は、群れをなしていた。知らぬ間に花を踏みつけていた。どれほどの時間が経っていたのだろう。少女は動けなくなってしまった。いや、ずっと動いていなかったのかもしれない。

今はいつだろう。

森にまだ立ちすくんでいた。このまま立ちすくんでいたら、まるで自分が木になってしまうようだった。ふと空を見上げると、太陽が木の間から仄暗く光っていた。月のようだった。森は、少しおだやかになり、風が吹いた。少女は森から静かに去った。森から出ると、体のなかがムズムズした。はじめのうちは何が起きているかわからなかったけれど、どうやら体のなかで、種が芽を出しはじめていた。あの野原で、とても美味しそうな木の実が落ちていて、その実を拾って口にしたのを少女は思い出した。道を駆け出した。そのお腹のなかで静かに花が咲いた。
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by sachiolin | 2015-08-17 19:50 | 綴 ~~ | Trackback | Comments(0)