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わたしの心の風景メモ。 


by sachiolin
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:: ヴェンダース監督

最近、すごい人たちに会って、すごい人って本当にいるんだなあ、と、感動しきりである。すごい、という言葉は、本来、自分と遠い存在として、切り離されて使われる言葉のように思うけれど、本当にすごい人たちというのは、その生きる姿勢や、眼差しや、存在だけで、人に、希望を与えるのだなあと感じる。それは、与えようとして与えられるものではなく、ごくごく自然なかたちで、与えられる光なのだろうと思う。単に強い光ではなく、やさしく温かく輝く光だ。


あのヴェンダース監督が、来日していたようである。
彼もまた、まぎれもなく、希望を与える人だ。

田口ランディさんが、ヴェンダース監督との
福島の時間を綴られている。
そのときの状況、監督のその眼差し、
それを思い浮かべるだけで、うるっとしてしまう。


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ヴェンダース監督はこの土地を離れざるえなくなった友人の訴えをただ黙って聴き続けていた。言葉は少なかったが、その「聴く」姿に慈しみと優しさと、悲しみが感じられ伝わってきた。そして、夜の試写会の後のインタビューで「私は映像の仕事をしてきた者として、目に見える世界を信じてきました。飯館の風景は天国のように美しかった。でも、目には見えない放射能の汚染されている。それを知覚することができない。こんな経験は初めてです。この現実をどう表現すべきか、いまはまだわからりません……。でも、私は必ず、またここに来ます。みなさんとの対話を続けていきたい。これが最後ではなく、これが始まりなのです……」と語った。そして、泣いている友人のほうを見つめ、小さく頷いた。彼女の思いを受け止めていることがはっきりと伝わってきた。それはとても勇気のいることだと思う。人の思いというものは、ほんとうに重いのである。

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「尊敬できる他者に出会うと、生きていることが楽しくなる。
よく生きていきたいと思う。  」

というランディさんの言葉に、深く共感。



生きるということを、じんわりと
あたたかく感じる今日この頃である。



今日の言葉*

「写真は見たままの現実を写しとるものだと信じられているが、
そうした私たちの信念につけ込んで写真は平気でウソをつくと
いうことに気づかねばならない」

(ユージン・スミス)
by sachiolin | 2011-11-01 01:57 | 引用::